無痛分娩の体制

当院の無痛分娩体制

聖マリアクリニックには複数名の麻酔科専門医が在籍し、グローバルスタンダードな手法である硬膜外麻酔を用いた無痛分娩を行っております。硬膜外麻酔は一般的な手術でも使用される麻酔で、お産の痛みを3分の1程度に軽減することが可能です。あらかじめ日程を決めてお産に臨む計画分娩時だけでなく、自然分娩時にも無痛分娩(24時間365日体制)を選択できる点が当院の特色です。

無痛分娩によって痛みを軽減できると、無理にいきむことがなくなり、体力の消耗を防ぎながらスムーズにお産を進められます。リラックスして出産に臨んでいただけるため、「赤ちゃんへ酸素が行き渡りやすい」「母体の回復が早い」といったメリットがあります。

なお当院では、あらかじめ無痛分娩のご予約をされていた方でも、当日麻酔を使用しなければキャンセル料はいただきません。

無痛分娩の詳細は、院内見学時にご説明しています。ご希望の方は、専用お申込みフォームまたはお電話からご予約ください。院内見学は、ご来院の際に受付でご予約いただくことも可能です。

[実績] ※2024.1.28更新
2022年 全分娩数:893件 うち無痛分娩件数:500件 帝王切開件数:192件
2023年 全分娩数:941件 うち無痛分娩件数:559件 帝王切開件数:166件
常勤医師数:9(2) ()内は麻酔科医 / 非常勤医師数:3(1)    ()内は麻酔科医

無痛分娩FAQ

無痛分娩や硬膜外麻酔について、妊婦さんやそのご家族から多くいただくご質問とその回答をまとめました。妊婦さんやご家族にとって「安心できる分娩」を選択するための一助として、内容をご覧ください。

硬膜外麻酔はどのようにお産の痛みをとるの?

当院では、欧米で始まった硬膜外麻酔による無痛分娩を行っております。お産の進行具合によって痛みの場所や程度、種類は変わりますが、痛みの信号は常に脊髄に集まり脳へ伝わります。硬膜外麻酔はその脊髄に作用し、脳に伝わる痛みの信号をブロックする方法です。

脊髄を囲う硬膜と背骨の間には、硬膜外腔と呼ばれるせまいスペースがあります。そこへ太さ1mm程度の細く柔らかいチューブを入れ、麻酔薬を注入します。血管内に薬を投与する方法と比べて鎮痛効果が高く、麻酔薬が胎盤を通って赤ちゃんへ影響するリスクがほとんどないため、多くの国や施設で第一選択肢として導入されています。

なお、硬膜外麻酔は無痛分娩時だけでなく、手術中や術後の痛みをとる目的でも日常的に活用されている方法です。

硬膜外麻酔による無痛分娩を受けるには?

妊娠22週頃を目安に、妊婦検診で無痛分娩のご希望についておうかがいしています。可能であれば妊娠30週頃、遅くとも35週までを目安に、麻酔科外来をご予約のうえ受診いただきます。

無痛分娩の手順や当院の体制、分娩中の過ごし方、副作用や合併症についてご説明しますので、ご理解いただいたうえで同意書をご提出ください。

「できるだけ自然に(硬膜外麻酔なしで)出産したい」と途中でご希望が変わった場合も対応いたします。硬膜外麻酔による無痛分娩を実施しない限り、費用はいただきません。

無痛分娩を希望するなら計画分娩以外選択肢が無い?

当院では、計画分娩以外でも無痛分娩を選択していただけます。 計画分娩とは、37週以降の内診の所見によりあらかじめ分娩の日取りを決め、陣痛が始まる前に子宮収縮促進剤を使用して人工的に陣痛を誘発する方法です。

現在の日本では硬膜外麻酔による無痛分娩に24時間対応できる医療機関が限られており、また計画分娩のみにて無痛分娩を行っている医療機関が多いという特徴があります。

それに対し当院は24時間365日体制で硬膜外麻酔よる無痛分娩に対応しています。
そして当院には4名の麻酔科専門医が在籍しており、麻酔科外来の受診などの無痛分娩に必要な手続きを事前に行っていれば、自然に陣痛が来たケースでも無痛分娩を開始することが可能です。

  • ※陣痛後すぐ出産された場合など、一部対応できない場合もございます
  • ※当院では計画的に無痛分娩を行うことを「計画無痛」、自然に陣痛が来てから入院・無痛分娩を行うことを「自然無痛」と呼んでいます

計画分娩の場合の流れは?

計画分娩は、地理的理由や心理的理由、医療的理由がある場合など、さまざまなケースで選択される分娩方法です。

妊娠37週以降、お腹の張りが頻繁になり、子宮の出口が柔らかくなり、子宮口が多少開いてくる時期に計画分娩の予定が決まります。入院は、計画分娩日の前日です。

子宮の出口が柔らかくなっていない場合は、小さな風船状もしくは柔らかい棒状の医療器具を子宮の出口に入れて柔化を促します。少量から子宮収縮薬の点滴を始め、効果を見ながら量を増やして分娩を開始し、また、点滴の前に飲み薬の子宮収縮薬を用いるケースもあります。

分娩進行中は、赤ちゃんの心音や子宮収縮の状態を装置で常時モニタリングいたします。

硬膜外麻酔の流れは?

陣痛が始まった妊婦さんが希望し、担当医師の許可が得られた時点で、硬膜外麻酔の準備が開始されます。さまざまな要因により変動しますが、子宮の出口が数cm開いたときや、陣痛が生理痛より強くなったタイミングが目安です。

血圧低下などを防ぐ目的で点滴による補液を行い、胎児心拍計や陣痛計、心電図、血圧計、パルスオキシメーターをつけて数字を常時監視します。

硬膜外麻酔用のカテーテル(管)を入れる際は、横向きにネコのような背中を丸めた姿勢を取っていただきます。痛み止めを注射後、細い管(カテーテル)を挿入し、針を抜いて管を抜けないよう固定すれば、処置完了です。

麻酔薬は電子制御された機器を使って注入します。30分弱で徐々に麻酔の効果を感じる妊婦さんが多いようです。

妊婦さん自身がボタンを押し、麻酔薬を必要なタイミングで注入することも可能です。ボタンの押し過ぎなどによって、麻酔薬が注入され過ぎる心配はありません。

硬膜外麻酔が効いている間の身体の状態は?

硬膜外麻酔は、子宮や骨盤部の神経から脳へ伝わる痛みの信号をブロックします。足の感覚や動きの信号も鈍くするため、足がしびれたり、力が入りにくいと感じたりすることがあります。

転倒予防のためにも、麻酔開始からお産終了までは同じベッドの上で過ごしていただきますのでご了承ください。

硬膜外麻酔によって、排尿にかかわる神経の信号も鈍くなります。そのため、麻酔が効いてきたら尿の管を挿入して排尿を管理します。

腸の動きが悪くなることもあるので、嘔吐しないよう食事制限の順守をお願いしております。飲水は可能です。

出産後の硬膜外麻酔の影響は?

出産の終了とともに硬膜外麻酔の注入を止め、背中の管を抜きます。麻酔効果は徐々に弱まり、数時間で完全に影響がなくなります。

激しい痛みを感じることなくスムーズに分娩が進み、「疲労が少なかった」「産後の回復が早かった」といった感想を抱く妊婦さんが多いようです。

硬膜外麻酔による無痛分娩の利点は?

無痛分娩のメリットは、分娩時の痛みを軽減できることです。

痛みが軽減することによって分娩中の妊婦さんの身体的な緊張や負担が減ると、産道の筋肉が柔らかくなって子宮口が開きやすくなります。赤ちゃんにも十分な酸素が届くため、きれいなピンク色の肌で生まれてくることも特徴です。

また、「通常の分娩と同様に自分でいきんで産めるため感動が大きい」「帝王切開が必要となった際に硬膜外麻酔がそのまま使え、迅速に手術へ移行できる」といった利点もあります。

痛みは酸素の消費量を増加させ、妊婦さんの心臓や肺にも負担をかけます。

疲労を軽減するために、医学的な理由から硬膜外麻酔による無痛分娩をおすすめするケースもあります。

硬膜外麻酔に副作用はある?

硬膜外麻酔が効いている間に起こり得る副作用には、以下のようなものがあります。

神経障害 足の感覚が鈍くなったり、足の力が入りにくくなったりすることがある
排尿障害 尿意が弱まり、尿が出しにくくなることがある(※)
低血圧 血圧低下の度合いが大きい場合は気分が悪くなることがあるため、血圧は注意深く観察
体温上昇 発熱が強い場合は、出産後に妊婦さんと赤ちゃんの採血検査を行うこともある
かゆみ 麻酔と組み合わせて使用される薬が影響し、かゆみを感じることがある。かゆみが強いようであれば、薬を使って処置する

硬膜外麻酔による無痛分娩のリスクは?

「Q硬膜外麻酔に副作用はある?」で解説した副作用とは別に、まれに、または極まれに起こり得る合併症などについて、学会などに報告された症例をもとにご紹介いたします。

  • 硬膜穿刺後頭痛
  • 局所麻酔薬中毒
  • 高位脊髄くも膜下麻酔・全脊髄くも膜下麻酔
  • お尻や太ももに電気が走るような感覚
  • 硬膜外腔、脊髄くも膜下腔に血や膿がたまる

詳しくは、一般社団法人 日本産科麻酔学会のホームページに掲載されている「まれに起こる不具合」の内容をご確認ください。
一般社団法人 日本産科麻酔学会 │ 無痛分娩Q&A

硬膜外麻酔による無痛分娩を希望しても、断られる場合はある?

妊婦さんの体質や状態によっては、硬膜外麻酔による無痛分娩を実施できない場合があります。下記の代表的な例をご確認ください。

  • 血液が固まりにくい体質(血液凝固障害)の方
  • 局所麻酔薬アレルギーをお持ちの方
  • 大量に出血している、脱水が著しい、といった場合
  • 背骨に変形がある、背骨の手術後、背中の神経に病気がある、といった場合
  • 注射する部位に膿が溜まっている、全身がばい菌に侵されている、といった場合
  • 高い熱がある場合

これら以外にも、硬膜外麻酔を行えないケースや慎重に行う必要があるケースがあります。まずは医師にご相談ください。

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